要約 その1「19世紀後半の英国諸産業における株主有限責任制度の発展」
著者 井上健一
「武蔵大学論集」第47巻第3・4号、2000年3月、525p-539p
偉大な先人の研究論文を要約し、イギリス会社法及び東南アジア会社法理解の一助とする。
1,「株式有限責任の会社制度への一般的な導入はいくつかの社会的・経済的な諸条件に依存し,かつまた賛成・反対の両立場から激しく議論がなされている(1840年代から50年代)」としている。
2,1855年にイギリス有限会社法(Limited Liability Act)が成立した後、発起人が、今から設立する会社を株主有限責任会社とする旨を仮登記に示すこと、会社名の最後に、’Limited'の文字を付すること、設立証書に株主有限責任であることを明記すること、を条件に株主有限責任会社を設立することが可能になった。
3,このことは、従来、株主有限責任を享受するためには、国王の勅許または議会立法という高いハードルがあり、ほとんどの会社は許可されなかったことを考えると画期的な進歩なのである。
4,その後、この法律を廃止するとともに、1956年会社法(Joint Stock Companies Act)が成立すると、無限責任か有限責任か選択させ、基本定款に記載し、登記することによって設立可能とした。さらに、1862年の会社法(Companies Act)にて、イギリス会社法立法は一応の完成をみる。
5,株主有限責任導入の背景として、企業サイドの資金需要だけでなく、投資家サイドの「資金供給の需要」という点も大きい。
6,産業革命期から19世紀前半まで、資金供給はパートナーシップ形態による資本家間で行われるか、または、地方の銀行を中心とする間接金融であった。しかし、ロンドン大都市圏において成功を収めた新興富裕層が資金の投資先を求め始めていたという事情がある。
7,制度は整備されたものの、株主有限責任はまだまだ一般的ではなく、産業別に特化して導入されていた。1855年から産業革命後半期の特定産業に導入された状況・背景を考察していく。
8,海運業、製鉄業、綿工業、銀行業、その他の産業を外観し、最後にまとめを行う。
著者 井上健一
「武蔵大学論集」第47巻第3・4号、2000年3月、525p-539p
偉大な先人の研究論文を要約し、イギリス会社法及び東南アジア会社法理解の一助とする。
1,「株式有限責任の会社制度への一般的な導入はいくつかの社会的・経済的な諸条件に依存し,かつまた賛成・反対の両立場から激しく議論がなされている(1840年代から50年代)」としている。
2,1855年にイギリス有限会社法(Limited Liability Act)が成立した後、発起人が、今から設立する会社を株主有限責任会社とする旨を仮登記に示すこと、会社名の最後に、’Limited'の文字を付すること、設立証書に株主有限責任であることを明記すること、を条件に株主有限責任会社を設立することが可能になった。
3,このことは、従来、株主有限責任を享受するためには、国王の勅許または議会立法という高いハードルがあり、ほとんどの会社は許可されなかったことを考えると画期的な進歩なのである。
4,その後、この法律を廃止するとともに、1956年会社法(Joint Stock Companies Act)が成立すると、無限責任か有限責任か選択させ、基本定款に記載し、登記することによって設立可能とした。さらに、1862年の会社法(Companies Act)にて、イギリス会社法立法は一応の完成をみる。
5,株主有限責任導入の背景として、企業サイドの資金需要だけでなく、投資家サイドの「資金供給の需要」という点も大きい。
6,産業革命期から19世紀前半まで、資金供給はパートナーシップ形態による資本家間で行われるか、または、地方の銀行を中心とする間接金融であった。しかし、ロンドン大都市圏において成功を収めた新興富裕層が資金の投資先を求め始めていたという事情がある。
7,制度は整備されたものの、株主有限責任はまだまだ一般的ではなく、産業別に特化して導入されていた。1855年から産業革命後半期の特定産業に導入された状況・背景を考察していく。
8,海運業、製鉄業、綿工業、銀行業、その他の産業を外観し、最後にまとめを行う。
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