Wednesday, October 2, 2013

商売の秘訣!モロッコのリヤカーおじいさんに学ぶ

在モロッコの日本国大使館がラバトの国連通りから現在のバラフラジ通りに移転したのは1997年のことでした。引っ越しというのはどこの世帯でも大変なことだと思いますが大使館の引っ越しも国が管轄することですからなかなかの苦労があったのです。

ところで、バラフラジ通りはスゥイッシーという住宅街のいわば入り口に位置しているんですが、周りに商店がありません。この辺りの人は皆車を2,3台もっていて郊外型のスーパーマーケットに買い出しに行くわけです。

新大使館建屋を建築中のことですが、新建屋は白亜の建物で夕日映えして、それはマグレブにはぴったりなのですが、周りに商店がありません。建築現場の技術者及び職人さんは昼食に困るのです。まあ、お金のある人は車できますが、ほとんどはバスやトラック荷台に便乗です。

もちろん、賃金も安いので昼食といってもパンをかじるくらいなのでしたが、それも買えません。

すると、どこからその状況を知ったのか、一人のおじいさんが人力リヤカーの荷台にいっぱいの菓子パンを積んで通りの向こうで待機するようになりました。むろん、荷台のパンは、あれよ、あれよという間に売り切れたのでした。

そのようにして、次の日も、次の日もおじいさんは一人でリヤカーを引いてきました。

建築はというと、モロッコでは当たり前ですが、工期が伸びるのです。それでも、担当官は頑張ったと思います。モロッコの職人を使うのはそれはそれは、大変だったでしょう。工期が伸びれば、伸びるほど、おじいさんは儲かっていったのです。

やがて、建築が実際に始まってから1年くらいはゆうに経過したと思いますが、落成式間近には、リヤカーがトラックになり、子供の助手も雇うくらいになっていたのでした。
リヤカーおじいさん、バンザイ!

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