Thursday, September 26, 2013

Fes Medina 複雑な構造をした1000年都市にあった複雑な構造の家にまつわる話 その2

Fés - Médina by jboisard.photo
Fés - Médina, a photo by jboisard.photo on Flickr.
/ / /// 無秩序/// / /とは言いつつも、イスラム法によって、どこに公共施設が必要なのかとか、一般住宅の建て方や隣の家との境界から生じる問題の解決の仕方とか(たとえば雨水を隣地に流れ込まないようにしろとか)などきちんと決まっているようですけど、異文化から来て初めてここを訪れた人にとってはただただ迷路にはまり込むという感じでしょうね。

あっという間に迷ってしまう複雑に込み入った構造になっています。原理的には、シンプルな形を多様に組み合わせた結果による複雑さなんでしょうけど。主要な箇所にはマスジド(イスラム寺院)とハンマーム(公衆サウナ)とマドラサ(学校)とスーク(市場)があります。その他、作っているものによって街区が分かれております。即ち、真ちゅう細工地区、銀細工地区、木工細工地区、なめし皮製品地区、薬売り地区、香辛料売り地区、そしていわゆるスークといわれる肉魚野菜果物日用品なんでも売ってる地区があり、らくだの隊商隊が常宿としたフンドクあり、ジャッキー・チェンのカンフー映画しか上映しない映画館あり、どんな髪でもバリカン一本で仕上げてしまう床屋さんあり、そんなに音が割れるほどボリューム上げなくったっていいジャンと思うほど大音量でラジカセかけてるカセット売り屋あり、民族衣装を客にきさせて写真を取ってくれる写真屋さんあり、はぎれ屋さんあり、ビーズ屋さんあり、歯抜き士(決して歯医者ではない)あり、エジプトから出稼ぎに来ているおねえちゃんが踊るベリーダンスがメインの観光客相手のレストランあり、もう甘くて甘くて大変というお菓子ばっかり売っているお店あり、、コーヒー一杯またはミント茶一杯で10時間くらい粘っても大丈夫な喫茶店あり、ロバ君の蹄鉄交換屋さんあり、いわずと知れたじゅうたん屋あり、エピスリあり(フランス保護領時代に入ってきた雑貨屋のような店)・・・

他方、路上ではタバコ一本売りのじいさんあり、物乞いあり、いつ死んだかわからない鳥や左右サイズ不ぞろいの靴など「これ売ってんのかあ?!」と思わず聞いてしまいたくなるおじいさんとか、暗がりにただしゃがんでいるおばあさんとか、なんだか知らないけどののしりあってる胴の太いおばさんたちとか、珍しがって入り口からずーとついてきてるガキとか、屋台のこげたにおい、香辛料の匂い、生ごみのにおい、甘いような酸っぱいような変な匂い、強烈な香水のにおい、そしてなにより強烈な陽射し!!、何でもかんでもあります。これらが巻貝みたいな迷路の道にドバーッツ!と並びに並んでいるのです。どんどん万華鏡のように目の前を風景が回転していきます。

入り口からしばらく歩くともう前述のような雑踏と匂いと陽射しで頭がフリーズして、思考能力が著しく低下していきます。今まさに通り過ぎようとしている通りの様子と角を曲がったつぎの通りの様子が非常に似通っているため区別がつかず「あれっ?」と思って振り返ると今曲がったばかりの角をもう見失ってるという感じで、そしてアナタはもうすでに迷っています。あせるほどに思考停止状態が深まってゆきにどんどん迷路にはまり込んでいきます。そしてついに、「もうだめだ、わからん」なんて思いつつボーっと突っ立ってると、今度は後方から「アンダック!!(ほれアブねーぞ)」というおじさんの怒声と共に背中に家庭用生ごみを満載して突進してくるお目目のかわいいロバ君に激突または踏み潰されそうになってしまうという状況です。---いざとなったらもう身をゆだねてしまう、という力量がない人は本当に精神的に参ってしまうくらい日本的感覚から言うと何もかもが整然としていないところです。

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