Friday, March 29, 2013

今熱い!ミャンマーできっと役立つ法律 1914 The Burma Companies Act 6

Ⅰ-1     A Company Limited by Shares

6.  In the case of a company limited by shares –
  (1)  the memorandum shall state –
  (i)   the name of the company, with “Limited” as the last word in its name;
  (ii)   that the registered office of the company will be situated in the Union of Burma;
  (iii)   the objects of the company;
 (iv)  That the liability of the members is limited;
 (v)  The amount of share capital with which the company proposes to be registered, and the      division thereof into shares of a fixed amount;
  (2)  no subscriber of the memorandum shall take less than one share;
  (3)  each subscriber shall write opposite to his name the number of shares he takes.

 第6条
有限株式責任会社の場合
(一)基本定款への記載事項
(1)会社の商号。会社の商号の最後に「有限」の文字を付加する。
(2)会社の登録事務所所在地がビルマ連邦共和国に存すること。
(3)会社の目的。
(4)社員の責任が有限であること。
(5)登記しようとする株式資本額、当該資本金を額面いくらの株式に分割するのか。
(二)基本定款への署名者は、1株以上を引き受けるものとする。
(三)各署名者は、自分の氏名の反対側欄に自分の引き受ける株式数を記載するものとする。

 上記は、ミャンマー会社法第6条の仮訳ではあるのだが、ミャンマー会社法の元はインド会社法であり、そしてさらに大元はイギリス会社法である。

1855年、1856年、1862年のイギリス会社法の発展によって、株主(社員)有限責任を基本定款に記載し、登記することによって有限責任の会社の設立が可能となった。それまでは、パートナーシップを利用した無限責任が基本である。イギリスにおいて、このような制度が導入された社会的・経済的背景は何なのだろうか。

「19世紀後半の英国諸産業における株主有限責任制度の発展」井上健一『武蔵大学論集』第47巻第3・4号、2000年3月 という、素晴らしい研究があるのだが、それによると、産業革命によって富を得た新興富裕層が、自己の資金の投資先を求めていたことが一つの背景としてあげられるようだ。産業革命を推進した企業側も、当然、資金が必要だったのだが、「資金供給側」にもそういた意欲や情熱があったのは確かだろう。ただし、株主有限責任会社が法制度化された後も、一気にそれが全産業の企業で採用されたということもないようである。

井上氏の研究成果によって、19世紀後半イギリスにおいて海運業、製鉄業、綿工業、銀行業、その他の産業分野に、株主有限責任会社がどのように採用されていったのか、その実態と背景を知ることができ、大変興味深い。

中でも、7つの海を制したといわれる、英国海運業においては、単に企業資金の需要と供給という側面だけでなく、木造・帆船から鋼鉄・蒸気船という技術革新という側面によっても、当該制度の導入が進められた、という特徴が研究されている。つまり、鋼鉄製蒸気船という造船に関する急速な技術進歩は、船舶の大きさと運行コストをそれまでの約2倍にし、それがため急速かつ大きな費用を発生させていく。海運会社は、従来のパートナーシップによる資本確保では造船・航路維持に間に合わず、広く投資家から資金を確保する必要に迫られ、それがため株式を公募するに至り、株主有限責任制度を導入していったというのである。

そして、1869年のスエズ運河開通と造船技術の飛躍的進歩により、大規模大量輸送が可能になると、1860年末から70年代にかけて海運ブームが起き、その際、そのブームを担った海運会社は、蒸気船を使用した不定期貨物運送が主流なのだが、そのほとんどが株主有限責任を導入していったということである。

さらには、不定期航路を支えた小規模の船団・航路の場合、事業リスクを回避するために株主有限責任を採用したという要因もあるそうだ。すなわち、航海時の事故・災害に際して船主の負担が制限されるように配慮するため、一会社一船舶というという方式で事業を一船舶ごとに分割し、いざというとき、第三者からの損害賠償が他の船舶に及ぶのを回避するため有限責任制度が使われたということである。ちなみに、本サイト上に仮訳した「MEMORANDUM OF ASSOCIATION OF A COMPANY LIMITED BY SHARES. 有限株式責任会社基本定款」における会社商号もこのような歴史的背景を知ると、より興味深い。



Notes
This Website is intended principally as the initial, introductory stage of information. Although articles in this website are written in good faith, representing the authors’ understanding of the relevant law, the articles may be wrong or out of date and should not be relied on for any purpose whatsoever. The authors of these articles and administrator of this website do not guarantee and assume no responsibility for any consequences, including damages, arising out of or in connection with the use of any information available from this website. All articles and content copyrighted © by the author, 2013.All rights reserved.



No comments:

Post a Comment